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イタリア研修日記【9】~ビチェリンという飲み物~

チョコレートから今度はコーヒーについての話になります。

今回の視察旅で絶対行きたかった都市がトリノでした。近年ではトリノオリンピックでその名を記憶されている方も多いと思いますが、その歴史は古代ローマにまで遡ります。イタリア王国の首都であった史実も持ちながら、一時は近代化の波に遅れ衰退した一幕もありました。しかし、工業都市として舵を切ると都市として見事な復活を遂げます。今ではその歴史ある街並みと共に、「イタリア第4の都市」として発展を続けています。

そんなトリノには古くからあるカフェも非常に多く、「一日トリノを歩き倒す!」と意気込んでいったのでした。

朝からたくさんのエスプレッソと菓子をほおばり、摂取したカロリーは歩いて消費!と巡り倒した一日。「このクロワッサン一本勝負で日本でお店出来るんじゃないか!?」というものや、毎日何百杯もカフェを入れ続けてきたバリスタさんたちの立ち姿や、トリノ発祥のチョコレート菓子まで目一杯楽しみ学びましたが、その魅力は悲しいことに一日では到底全てを味わいきれなかったと思います。再訪必至!

そんなトリノには世界的に有名な飲み物があります。その名は「ビチェリン」。店名を冠したその飲み物は、エスプレッソとチョコレートリキュール、生クリームの3要素からなる温かいコーヒーカクテルとでもいいましょうか。想像はたくさんしましたが、こればっかりは「本場で飲まないと、なんも言えねぇ」というものになるのです。

そのお店・「アル・ビチェリン」は、トリノ市内にある他の有名かつ歴史あるカフェの重厚感とは違い、拍子抜けするほど小体な店構えでした。でもここに途切れることなくお客さんがやってきます。やっとこさ着いた興奮もそのままにビチェリンをオーダー。オープンなカウンターで作る、のではなく、裏からうやうやしく運んでくるのですよねこれが。。

そんなビチェリン、率直な感想としては “富士山”のようなもので、その心は「一度も飲まぬ(登らぬ)バカ、二度飲む(登る)アホ」、あれ?自国の名物を自虐するのはいいけど他国にはブラックジョークが過ぎてしまうのかな??要するにめちゃめちゃ美味しいから是非是非みなさんも!!とまで驚いたものではなかった、のですが(汗)、しっかりと「一世を風靡した味とその歴史」に想いを馳せながらいただいてきました。

濃い目のコーヒーに生クリームをフロートさせる飲み方というのはいろんなところで見られるスタイルで(都内だと銀座・ランブルのブラン・エ・ノワールが思い出されました)、そことトリノに関係の深いチョコレートリキュールを加えることで、「これぞトリノ名物!」となったのだと想像します。見た目も味も美しい飲み物なんて早々生まれるものではなく、その当時は大変センセーショナルだったのでしょう。そういった歴史を感じることもまた食文化の素晴らしいところですね。これはフォローではなく本音でそう思っています!

自分の作った料理やお菓子が全世界に知られる。この世界に携わる者としてはこれほどの喜びはないのではないでしょうか。

そんな「代表作」を夢みつつも、そればかりに囚われることなく、自分の本分と天命を全うしていきたいと思います。

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